2015/11/06(金)<『李克強指数』と『 “新” 李克強指数』>
【Newsモーニングサテライト】 http://www.tv-tokyo.co.jp/nms/
*敬称略しています。 また長文ゆえ誤字脱字が多いです。ご了承ください。
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┏┓モーサテ WORD BANK <『李克強指数』と『 “新” 李克強指数』>
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『李克強指数』
・電力消費量
・鉄道貨物輸送量
・銀行融資
などの指標を元にして各金融機関が独自に算出した指数。
中国では【GDP】国内総生産よりも中国経済の実態が判ると言われてきた。
・この『李克強指数』の始まりは、李克強首相がまだ地方の幹部だった2007年に
「中国経済の実態を知るには【GDP】よりもこの3つの指標に注目している」
と語ったことからと言われ、中国経済を見る重要な尺度として知られるようになった
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◆そして今現在-
・この『李克強指数』を見て「中国の経済成長率はもっと低いのではないか?」
と指摘する声が今相次いでいる。
・ただ、この『李克強指数』自体が今の中国の姿をきちんと表していないとする
指摘もある。
【第一生命経済研究所】調べによると、
『李克強指数』は2012年度初頭、2013年度初頭に16%近い伸び率を示したものの
激しく乱高下しながら下降線を辿っていき、2015年には0%~3,4%台近くまで
落ち込んでいる。
ゆえに『李克強指数』自体が今の中国の姿をきちんと表していない・古くなっている
と中国経済を見ている専門家の間で言われ始めている。
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2015年9月10日
ダボス会議・夏期(?)
【中国・大連】
◇李克強 首相 中国
「構造改革」を通じて「安定成長」を目指す政府の方針に自信を示した。
「これまでに行った政策の効果が徐々に現れつつあり、
経済の中のプラス要因は増えている。」
・景気減速が進む中国で経済の“新たな牽引役”として台頭してきたのが
『第3次産業』。
<中国名目『GDP』に占める産業別の割合> 出典:【中国国家統計局】
第2次産業 第3次産業
2005年 約47% 約42%
2010年 約46% 約44%
2015年 約40% 約49%
・『第2次産業』の割合がこの10年低下し続けているのに対し、
サービス業などの『第3次産業』の割合は50%近くにまで達している。
・『第2次産業』の動きを示すと言われる『李克強指数』が
中国経済の実態を反映し切れていない・乖離していると言われる理由はここにある。
◇西濱徹 主席エコノミスト 第一生命経済研究所
(『李克強指数』が)減速しているから「中国経済全体が落ち込んでいるんだ」と
判断するのはかなり早計かと言えるかと思います。
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『 “新” 李克強指数』
・雇用
・収入
・エネルギー消費の低下
・雇用の安定や収支を重視するというのは、2010年から2020年までに【GDP】
国民の所得を倍増させるという政府目標と一致するもの。
ゆえに香港のメディアはこの3つを差して『“新”李克強指数』と報じている。
・ただこの3つの指標でこれまでのように『“新”李克強指数』を作ることが
できるのか?という問題もある。
◇西濱徹 主席エコノミスト 第一生命経済研究所
中国国内では依然“2つの失業率”が併存する状態になってまして、
どっちを信用したらいいのかがまだまだ見えない。
それからもう一つ“所得”に関して言うと、人々の『家計所得』ってどうなのか
これは適時適切に把握できない状態ですので(『“新”李克強指数』を)担うほどの
重要な経済指標はまだ発表されていない-
・さらに『エネルギー消費の低下』は該当する指標が出てないのが現状。
◇肖敏捷 シニアエコノミスト SMBC日興証券
過渡期ですので全ての情報がかなり流動的ですので、そうした中ではまあできれば
オールド・古い中国経済と中国のこれから目指す方向の“両方”を合わせてみた方が
まあ一番いい方法だと思います。
中国はやっぱり統計の不備もあるし、あと透明度の問題もあるし、だから
なかなか僕も含めて苦労しているのが事実ですし-
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◆どの指標を取っても内容に疑問符が付く。
新しい指数の算定表を作っても難しいかもしれない・・・
・ゆえにミクロ/マクロ様々な視点で・地道に・冷静に、中国経済の実態を見ていく
必要がある。
◇西濱徹 主席エコノミスト 第一生命経済研究所
<注目指標>
【PMI】購買担当者景気指数 (政府・財新が発表)
【企業決算】特にニューヨークに上場する中国企業や
サービス産業・サービス業などで中国に進出している日系企業の業績
などをくまなくチェックしている。角度を変えてみている。
<中国雇用者総数に占める割合> 出典:【中国国家統計局】
第2次産業 第3次産業
2010年 約28% 約35%弱
2012年 約30% 約36%
2014年 約30%弱 約40%超
四半期毎に発表される産業別雇用者数に今注目している。
『第2次産業』が横ばいなのに対して『第3次産業』が伸びている。
これによってサービス産業が雇用の受け皿として機能していると判断できる。
もしこのバランスが崩れてくると“雇用の悪化”から個人消費が落ち込んで
企業の業績にも影響が出てくるだろう。
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◇佐々木明子 MC
まあいずれにしてもね、世界第2位の経済大国ですから影響が大きいですし、
「構造改革」とともにこういった「統計」もね、透明性ですとか整備もお願い
したいというのが、それぞれ専門家の皆さんの本音かもしれませんね。(苦笑)
◇感想‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
┣・『 “新” 李克強指数』って結局のところは【GDP】みたいなものだよね。元々の
参考指標となるべくものだった。それが信用できないものだったから鉄道貨物輸送量
といった現場主義的な指標を用いる『李克強指数』が評価されていたわけで。んで
経済動向が変化、第2次から第3次にあからさまに移ってきたので使えなくなって
「新たな指標はコレだ」と掲げてみたところ、まだその透明性・信頼度は高まって
いなかったというお粗末な話という。競馬でいえば勝ち馬投票券の販売状況を公開
せずにオッズを掲げてしまっている『ブックメーカー』みないなものかな(苦大笑)
「ウチはこんなに高いオッズ(成長率)だよ」と吹っ掛けて投機筋を寄せ集めてる
ようなものでしょう。イギリスは確かブックメーカーの淘汰が行われつつあるとか
記事を目にした覚えがあるけれど、中国の場合はどうなんでしょうね。グダグダで
明らかにされると己の立場が危うくなるからと、一向に不透明なままなのかもね。
┗・日本は『第3次産業』サービス・金融業への移行に強い抵抗を受けて、通貨を弱く
するなど『第2次産業』の勢力維持に固執した。片や中国は『第3次産業』の方が
手っ取り早く金儲けができると雪崩を打つかのようにサービス業へ皆が移っていく。
“国民性の違い”なのでしょうけれど面白いですよね。外貨準備高は我々が想像する
聞き及ぶ以上に中国にはあると言うけれど、収益物を製造していく『第2次産業』を
疎かにして進むとどうなるのか。進展著しい国なだけにその結果も案外早く解りそう
ですよね。環境汚染も進み一向に改善されない中で中国大陸はどのようになるのか。
大きな国家の崩壊がまた生きている内に見られるかもしれません。。。