立ち上がらない雑草魂
2014/09/03(水)<立ち上がらない雑草魂>
【視点・論点】 http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/400/
*敬称略しています。 また長文ゆえ誤字脱字が多いです。ご了承ください。
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┏┓視点・論点 <立ち上がらない雑草魂>
┃ 静岡大学大学院教授 稲垣栄洋
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┣■「踏まれても踏まれても立ち上がる」
◆何度も何度も踏まれると、雑草は立ち上がらなくなる。
「踏まれても踏まれても立ち上がる」という雑草のイメージは人間の幻想。
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┣■どうして立ち上がらなければならないのか?
◆植物にとって最重要なことは「花を咲かせて、種を残す」こと。
踏まれても立ち上がるという無駄なことにエネルギーを使うよりも
踏まれながら花を咲かせることを考える方が合理的。
・そして、踏まれながら種をつけることの方がずっと大切。
そのため、雑草は無駄に立ち上がるようなことはしない。
・踏まれやすい場所を見ると
雑草は地べたに葉を広げていたり、横に寝そべって伸びていたりする。
こうして暮らしていれば、踏まれてもダメージがあまりない。
・そして蓄えたエネルギーを使って花を咲かせ、種をつける。
雑草の生き方はずっと「したたか」。
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┣■踏まれることは何も「耐え忍ぶこと」とは限らない。
◆雑草にとって踏まれることは何も「耐え忍ぶこと」とは限らない。
・雑草『オオバコ』は道端によく生えている。その理由は
オオバコの種は、水に濡れるとベタベタして、くっつきやすくなる。
そして人に踏まれると靴の裏に種がくっついて、遠くまで運ばれていく。
種が運ばれた先も、やはり人が通る踏まれやすい場所がほとんど。
こうして『オオバコ』は道に沿って分布を広げていく。
・雑草『タンポポ』が「風に乗せて」種を運ぶように、
『オオバコ』は「踏まれる」ことによって種を運ぶ。
・踏まれることは、もはや「耐える」ことではなく、
種を運ぶためには、踏まれないと困ってしまう。
道端の『オオバコ』はどれもが「踏んでほしい」と思っているはず。
雑草にとって“困難な環境”とは、耐えたり、克服するだけのものではない。
困難な逆境を積極的に利用して成功することこそが、雑草の生き方の真骨頂。
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┣■雑草はどうして踏まれるような場所に生えているのか?
◆雑草は「強い植物」というイメージがあるが、むしろ「弱い植物」である。
・雑草は他の植物との「競争に弱い」植物です。
そのため、雑草は強い植物が生い茂るような『深い森』には生えられない。
強い植物が生えることのできないような「困難」な環境を選ぶ。それが、
よく踏まれる道端であったり、よく草取りが行われる空き地だったりする。
・雑草は戦略的に強い植物との競争を避ける。
何気なくどこにでも生えているわけではない。
・自然界は「弱肉強食」「適者生存」の厳しい社会。
強い者が生き残り、弱い者は滅びる。これが自然界の掟。
しかし、だからと言って、強い生き物しか生き残っていないかというと、
そうでもないところが、自然界の面白いところ。
見渡してみると、弱そうに見える沢山の動植物たちが自然界を謳歌している。
・しかし厳しい自然界を生き抜くためには、無策というわけにはいかない。
・今、私たちの身の回りにいる生き物は、自然界を生き抜いているという点で
どれもが「成功者」。そして弱い彼らが生き残るためには、必ず戦略がある。
彼らはどれもが「優れた戦略家」と言える。
・弱い植物である雑草にとって「戦わない」ことは、とても重要な戦略。
戦わない戦略にとって、重要な方法の1つは「ずらす」という戦略。
踏まれる場所に生える雑草は、他の植物と「生える場所をずらす」戦略。
それ以外にも「時期をずらす」という戦略もある。
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◆タンポポには昔から日本にある『日本タンポポ』と外国から帰化した
『西洋タンポポ』とがあり、同じタンポポでも戦略が違う。
『西洋タンポポ』は、春だけでなく、1年中、花を咲かせる。
競争相手となる他の植物が生えにくいような道端や空き地に生えている。
つまり「場所をずらす」戦略。
『日本タンポポ』は、春だけに、花を咲かせる。
そして花が咲き終わり、種を飛ばし終わると、自ら葉を枯らせてしまう。
実際に枯れてしまったわけではなく、土の中の根だけを残して眠ってしまう。
夏の間、土の中で過ごすこの戦略は「夏眠」と呼ばれている。冬眠の逆。
どうして植物の成長に適しているはずの夏にわざわざ眠ってしまうのか?
夏になると競争相手となる他の植物が生い茂り、小さなタンポポには
光が当たらなくなってしまう。そのため『日本タンポポ』は春の早い内に
花を咲かせ、他の植物が伸びてくる前にタネをつけてしまう。
そして無駄な戦いをすることなく、さっさと眠ってしまう。
これが「時期をずらす」戦略。
この“ずらす”戦略によって『日本タンポポ』は他の植物が生えるような
草むらにも生えることができる。
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┗■本当の「雑草魂」
◆植物は動くことなく平穏な暮らしをしているように見えるが、それは違う。
・枝や葉は光を奪い合い、見えない土の中では根が栄養分や水を奪い合う。
植物たちもまた、常に激しい生存競争を繰り広げている。
・弱い植物である雑草は、勝てない相手と競争するよりも、
「踏まれたり」「抜かれたり」する逆境を選んだ。
・雑草はこうして「踏まれる」環境に生えている。
そして、踏まれたら立ち上がることなく、暮らしている。
・「踏まれても立ち上がらない」「強い植物とは戦わない」。
雑草のこの戦略を、皆さんは情けないと思うでしょうか?
雑草にとって大切なことは、立ち上がることでも、
強い植物に立ち向かうことでもない。
・大切なことは「種を残す」こと。
雑草は、ただこの目的に対して最大限で合理的な努力をしている。
大切なことを見失わない生き方。これこそが本当の「雑草魂」。
◇感想‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
┣・タイトル以上に、最後強いインパクトを受けた提言でした。
外見は「弱」そうな生き物の、本質的な生き方の的を見事に得ています。
明らかに「弱い」人間に対しての応援メッセージに見受けられますが、
いくつかその本質を“隠蔽”しているように思いました。
┣・「雑草」は群れるとあっという間に増殖します。
空き地に生える雑草の繁殖能力の高さはご存じの通りです。
そして雑草はそのほとんどが食べられず、“有効”利用に乏しいです。
「雑草」ばかりがこの世の中“助長”しては大変な事態になります。
┣・弱者の応援メッセージとして「頑張れ」「貧乏でも力強く生きられる」
的なことは伝わりますが、人間は根本的に「弱い」ままではダメです。
┗・大切な見失わない生き方とは「種を残す」ために「競争力」向上が必需。
安易な場所へ逃げ込むだけではダメだよ、と私は強く言いたいです。
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┣・一年前にメモった話ですが、今もサイト上に残ってますね。さすがはNHK
余裕があります。(苦笑)
┣・またその後「雑草」でも食べられるモノが多いことが俳優の岡本信人氏により
実証されました。今では多摩川の河原で母子を相手に講習会を開いてます。(笑)
┗・録画の都合上、最近見なくなってしまった同番組【視点・論点】。
遅ればせながらまた録画予約でもしておこうかと、本文を読み返して思いました。