2016/01/07(木)<政治シナリオを揺るがす統計の“癖”>
【Newsモーニングサテライト】 http://www.tv-tokyo.co.jp/nms/
*敬称略しています。 また長文ゆえ誤字脱字が多いです。ご了承ください。
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┏┓特集 <政治シナリオを揺るがす統計の“癖”>
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┣■W選挙?
Q.衆参W選挙? その可能性は
A.
◇矢嶋康次 エコノミスト ニッセイ基礎研究所 ※金融・財政に精通
私は今のところは野党が今連携し始めていることに対しての“牽制”だと
いう風には思うんですけれども、実際問題「衆院の選挙」があるかってどうかと
なると、Wでの可能性が凄く高いと思いますし、衆院の方は「年内に解散」という
そういうシナリオを想定しておいた方がいいんじゃないかと思います。
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Q.何を大義に「衆議院解散」とする?
A.
◇矢嶋康次 エコノミスト ニッセイ基礎研究所 ※金融・財政に精通
今のところ「大義」って全く見えてなくて、「無い」と思います。
ただこれからちょっと国会論戦になっていく中で『消費税』という問題というのは
「増税先送り」ですので、コレやっぱり頭に置いておいた方がいいんじゃないかな
と思っております。
◇佐々木明子 MC
ありますか? ただ昨日2016年1月6日、安倍総理は重大な事態にならない限り
「やりますッ!」と言ったばかりですけども。
◇矢嶋康次 エコノミスト ニッセイ基礎研究所 ※金融・財政に精通
ただこれも1回過去がありますし、それからこれから国会論戦になっていく時に
ですね「消費が弱い」と。それから
「税収が上がっているので消費税を上げなくてもいい」とかって言うんじゃないか
議論になるかと思いますし、
もう1つ非常に注目なのが、野党の方が「軽減税率」をやり玉に挙げていると思う
んですけれども、この時
「財源1兆円で、それがお金が足りないのに消費税上げる理由があるの?」
とかですね。それとか「事務負担」とか線引きですよね。
こういうのも問題があるのに「今やる必要があるの?」って議論に多分なってくる
と思うので、そこから“消費税がどうなるか”って議論が間違いなく国会の中で
出てくるんだろうと思います。(苦笑)
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┣■統計の“癖”
Q.「消費税増税」の鍵になってくるのは『統計』
A.
◇矢嶋康次 エコノミスト ニッセイ基礎研究所 ※金融・財政に精通
あの毎年そうなんですけれども「経済はデータ」なのでデータで見るしかない
んですけれども、ただもう1個言えるのが「完璧な経済データは存在しない」
ので、でも政策の判断というのはそれでならないといけないので、
大体毎年言われるのが、
「経済のデータは実態を表しているのか?」というのが多分出てくるんですけど
今年もそういう『消費』『設備』に関して、そういう話が出てくるかと思います。
『消費』 2010年=100
家計調査は弱い。「消費支出」の方は随分と低迷している。※2013、2014年に一時
100を超えるも、
2015年末92と急減
一方で「小売業販売額」の方は、対照的な動き(増加)・乖離を示している。
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Q.「消費支出」と「小売業販売額」で、これだけ違いが出るのはなぜ?
A.
◇矢嶋康次 エコノミスト ニッセイ基礎研究所 ※金融・財政に精通
この問題に対して麻生さんが
「個人消費の家計調査ってこれ実態と比べて低く出ているんじゃないか」って
問題にして、かなり物議を醸しましたけど、
これ実際に統計でこっちの家計調査「消費支出」の方は高齢者世帯がやっぱり
多いのでどうしてもサンプル的に消費の水準が弱いのと、
こっち「小売業販売額」の方は今の消費の構造問題ですね。インバウンドですね。
こういう販売統計が入ってますから百貨店とか。
そういう意味では非常に強く出やすいので、
何をその「消費」だとか「販売」という風に実際にみる統計によって強弱がだいぶ
出るんですよね。
◇佐々木明子 MC
ということは、どこをどう見るかによって、ちょっとアレですけど“都合良く”
こう使えるということがあるということですね。
「家計が弱いんだから『消費増税』やっぱり考えましょう」ということに
使われかねないと。
◇矢嶋康次 エコノミスト ニッセイ基礎研究所 ※金融・財政に精通
そうですね。そういう形になるかな、とは思いますね。
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┣Q.『設備投資』の方を注目されてますね?
A.
◇矢嶋康次 エコノミスト ニッセイ基礎研究所 ※金融・財政に精通
こちらの方はそのアベノミクスの言う「進化」というか「進み具合」という意味で
『設備投資』が今注目を浴びているんだと思うんですけれども、
これ実は今年2016年の年末にですね、GDP上の設備投資って
“自動的に数字が増える”んですよね。
『民間設備投資』がなかなか伸びていない中で、「研究開発費」っていうのが
ここに(2015年度分に)上乗せされるんですね。 ※約15兆円
まあズルをするってわけではなくて、世界的にはこういうものが、
GDPの設備投資の中の統計の中に入っているんですけれども、
これを今年2016年日本が改訂をして(統計データとして)乗っける。
過去のデータよりも(その分だけ)大きくなるんですけれども、そうすると
(前年2015年)70兆円くらいだと思っていたものが80兆円くらいになるので
「まあ増えましたね」ってことになりますよね。
「この設備投資額を70兆円から2016年には10兆円ほど増やせる」
と言っていましたけれども、企業が増やすのではなくてもう
この統計をちょっと計算の仕方を変えるだけで『研究開発費』を加えるだけで
自動的に10兆円以上増えるということですね。
◇矢嶋康次 エコノミスト ニッセイ基礎研究所 ※金融・財政に精通
まっそうですね。榊原さん、でもこれもお分かりになった上で
多分(10兆円の設備投資を)やるって話だと思うんですけれども、
統計上はこういう話があるので、政府とすると
「まあ自分達が言って設備投資を増やした」というようなトーンも出てくると
思いますし、民間からするとですね、今M&Aってもの凄いやっているんですよ。
(前年2015年)10兆円規模でやっているので、コレ、民間の方とお話をすると
「政府が消極的だと批判するけれども、民間はもの凄い積極的にやっている」
って話が出てくるので、そうすると
「設備投資の統計がやっと自分達の民間の投資のラインの上に一致してきた」
と多分そういう声が出てくるので、実体は何も変わっていないんです。
そういう意味では経済統計はどれを見るかでだいぶ違ってくるので、その辺りを
今年2016年ですね、政策論議と共に「実体は何なのか?」ということが
実は統計によってだいぶ出てくるんじゃないかと思いますね。
◇佐々木明子 MC
そうですね。ですから「どの指標を見てその政治判断が下されるのか」
本来だったら満遍なくなんですよね?
◇矢嶋康次 エコノミスト ニッセイ基礎研究所 ※金融・財政に精通
ハイ。「全部を見て」ということが一番正しいのだと思います。
◇佐々木明子 MC
あとはその統計の“精度”を高めることも元々の話ではあるわけですけれども
都合の良い指標が政治判断に使われる可能性があるかもしれないってことを
今年2016年は注目しておいた方がいいと。
ありがとうございました。<(_ _)>
◇感想‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
┣・思ったよりメモに時間を要してしまった。箇条書きにまとめれば20行足らずで
済んでしまうのだろうけど、会話を全部メモすることで聞き漏らしていたことに
気づきますね。
┣・“統計のマジック”を【政府】のみならず【経団連】も使おうとしているのか?
ちょっと気になるところです。(苦笑)
┗・しかし最後に触れた『M&A』ですが、確かに気になる伸びを示してますね。
<日本企業による海外企業の『M&A』>
2006年 約8兆円超
2007年 約3兆円弱
2008年 約8兆円弱
2009年 約3兆円程
2010年 約4兆円弱
2011年 約6兆円超
2012年 約8兆円弱
2013年 約5兆円超
2014年 約6兆円弱
2015年 約11兆円弱 ※2014年の約倍近くあります。(驚)
『ハゲタカ』なんて海外企業に買収される心配があったのが嘘のような勢いです。
けれどよく言われるのが、『M&A』による企業統合で上手くいったところは
「ほとんどない」という点。【キリン】など企業ロゴを変えた方がいいのではと
思っちゃうような失態ぶりですよね。(苦笑) ホントに大丈夫かな、今の日本人で?