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米『ハイイールド市場』の現状

2016/03/08(火)<米『ハイイールド市場』の現状>
【Newsモーニングサテライト】 http://www.tv-tokyo.co.jp/nms/

www.tv-tokyo.co.jp


*敬称略しています。 また長文ゆえ誤字脱字が多いです。ご了承ください。


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┏┓特集  <米『ハイイールド市場』の現状>
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  2016年2月に大きく価格が下落した『ハイイールド市場』
                  (高利回り社債とローン市場)


  現在は【投信】などの資金が戻り始め、持ち直しつつあるように見える。

  ただ、現在の『クレジット市場』は【投資銀行】などへの金融規制を強化した結果
  「流動性」が著しく低下し、一旦価格が下落を始めると理論値を突き破って
  「下落が止まらなくなる」可能性が高くなっている。


  『ハイイールド商品』の多くは【投資信託】などが保有しているが、
  投信の損失を埋めるために【FRB】が買い支えることは難しい上、
  大統領選を控えて、どの候補者も“反ウォールストリート”にならざるを得ず、
  金融規制の緩和も難しい。


  今後どんな対応を取り得るのか注視していく必要がある。

 

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┗■米『ハイイールド市場』リスクと今後


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 『ハイイールド』の市場規模

  ◇土屋剛俊 クレジットアナリスト みずほ証券 ※信用リスク分析に精通

   まずサイズだけ確認しますと、

   『社債』  約160兆円
   『ローン』 約100兆円

   合計    約260兆円 くらいのマーケットですね。


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 『ハイイールド』の値段

  ◇土屋剛俊 クレジットアナリスト みずほ証券 ※信用リスク分析に精通

   値段に関しては「ETF価格」を見て頂くといいんですが、


   <『ハイイールド』ETF価格の推移> ※グラフより目視

     2015年 3月 約92ドル ※ほぼ横ばいで推移
     2015年 6月 約89ドル ※一気に右肩下がり局面へ
     2015年 9月 約85ドル ※10月頃一度ガクンと82ドル近辺まで下がる
     2015年12月 約81ドル ※下げ止まらず75ドル近辺まで急落していく
     2016年 3月 約82ドル ※年末から反発する形で急回復しているが・・・


  ◇土屋剛俊 クレジットアナリスト みずほ証券 ※信用リスク分析に精通
   先月2016年2月初頭にピーク時(2015年3月頃)から「20%」ぐらい値段が
   下がっていて「スプレッド」上乗せ金利で言うと大体「8%」ぐらい上がって
   いるんですが、直近では『原油価格』がちょっと戻っているってこともありまして
   若干、資金が流入して少し戻しているっていう状況ですね。


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 ◆米『ハイイールド』のスプレッド  ※金融取引において、異なる市場や限月での
                    金利差や価格差の差額を得る

  <セクター別> ※2016年初頭の段階

   『エネルギー』  約1,600bp  ※直近、各分野で戻している。
   『工業』     約1,000bp
   『素材』       約950bp
   『全産業』      約900bp
   『金融』       約550bp


  ◇土屋剛俊 クレジットアナリスト みずほ証券 ※信用リスク分析に精通
   『エネルギー』が16%とダントツに高いですが、さもありながら他も
   全体的に見てもまだ以前の数字から比べると明らかに「高止まり」している
   ということだと思います。

   ※2014年半ばまでは各セクターともに「400bp」の範囲内で差はなかった。
    しかし2014年秋以降に『エネルギー』が大きく乖離し始め、2015年以降には
    『金融』は踏ん張りを見せるものの、釣られるように上がっていっている。


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 Q.実際に「債務不履行」デフォルトというのは起きつつあるんですか?

 A.
  ◇土屋剛俊 クレジットアナリスト みずほ証券 ※信用リスク分析に精通
   そうですね。あの通常は『社債』が先に追い込むんですが、実態(?)の方も
   出てきていまして、石油・ガス掘削会社の【ノーブル・エナジー21】(?)とか
   【サンドイッチ・エネジー】(?)とかはですね、先月2016年2月、利払とかが
   できなくて「止まりました」という話も出ています。

   で、これ「治癒期間」がありますので、今月2016年3月半ばぐらいまでに戻せない
   と、いよいよデフォルト、ということになりますねぇ。ハイ。

 

buckyardofssl.seesaa.net


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 Q.懸念がいよいよ高まってくるということですが、
   今なぜこういう状況にまできてしまっているのでしょう ??

 A.
  ◇土屋剛俊 クレジットアナリスト みずほ証券 ※信用リスク分析に精通
   今回の一番の問題点はですね、その「流動性が低下している」ってことで
   ございまして、その『クレジット』に関しては「流動性を高く維持する」って
   ことは非常に重要なんですけれども、

   特にアメリカの『ハイイードル』マーケットというのはこう世界を制していたのは
   “どんな状態でも必ず高い流動姓が維持できた”ってことなんです。
   それが今無くなっちゃっているっていうのが一番の問題点なんです。


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 Q.なぜ今その「流動性」がアメリカで無くなってしまっているんですか?

 A.
  ◇土屋剛俊 クレジットアナリスト みずほ証券 ※信用リスク分析に精通
   ハイ。あの実はですね『金融システム』が長いこと痛んできたので、各国の当局が
   特に【FRB】とかがですね、その『金融システム』を守るために規制を強化して
   『金融システム』の中からリスクを外に出しちゃったっていうのが大きいんですね

   それで結局「買い向かったり」価格安定の流動性の供給をしていた一番の人達が
   出来なくなってしまったというのが一番大きくて、で、そうなってしまうと、
   何かのキッカケで「値段が下がり始める」とそれを「止める」っていう作業が
   出来なくなってしまうので、非常に良くない価格の下落が誘発されやすいっていう
   状況になっているわけです。


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 Q.となると、その「流動性」を供給していた【金融機関】が今「買い進んでいない」
   となると、今『市場』にいるのは誰なんですか ??

 A.
  ◇土屋剛俊 クレジットアナリスト みずほ証券 ※信用リスク分析に精通
   エェ。アッ、それになりますと、いよいよ“買う人”となるとその
   『ディストレスト』と言って「破綻債券」などに投資するような人達が出てくる
   しかないんですけれども、そういう人達はもう「買値がものすごく低い」ので、
   このいよいよ彼らの値段まで下げてあげないともう商売が成立しないということが
   起こり得るってことなんだと思いますね。


   <米『ハイイールド商品』保有割合>

     【運用会社】    81%  ※圧倒的に占有している
     【保険】      約6%
     【銀行】      約6%  ※意外と少ない
     【ヘッジファンド】 約3%
      その他      約4%


  ◇土屋剛俊 クレジットアナリスト みずほ証券 ※信用リスク分析に精通
   【運用会社】の後ろにいるのはですね、大体6割ぐらいが【投資信託】で、
                       3割ぐらいが【年金】だという風に
   言われていますね。
                      ◇佐々木明子 MC
   ハイ。そうなんです。          エッ?そうなんですか。(驚)
   なので同じような動き方をする人達ですし、
   仮に何かのキッカケがあって「解約」ということになりますと
   もう「換金せざるを得ません」から、そこにある値段で売却するしかないという
   ことになりますので、まあ“更に下落余地が高くなりやすい”っていうリスクが
   あるんですね。


  ◇佐々木明子 MC
   ただ『ハイイールド』は“リスクを覚悟して”投資している人達ですけれども、
   個人や年金っていうのはその私達そんなに『ハイイールド』と取っていると。
   コレ日本にも入っているんですか?


  ◇土屋剛俊 クレジットアナリスト みずほ証券 ※信用リスク分析に精通
   ハイ、そうですね。明らかに『ハイイールド投信』みたいな形で特化している
   ヤツっていうのはある程度分かっている部分はあるんですけど、それ以外にも
   どうしても【年金】とか大きい【金融機関】さんが運用の一環として、
   「オルタナティブ」のような形でコレを入れるっていうようなものがあるんですが

   オルタナティブ投資・オルタナティブ投資とは/マネックス証券

 

  ◇土屋剛俊 クレジットアナリスト みずほ証券 ※信用リスク分析に精通
   そうなっていくと必ずしもリターンを求めて買うざるを得ないんですが、
   あのこういうリスクを強く意識した上で敢えて取っていくのかっていうと
   最終的にその【年金】の受け取り手はそういう風には全然思っていないという
   ことだと思いますね・・・ 。


  ◇佐々木明子 MC
   いわゆる「金利があるところに資金が行く」っていう典型だとは思うんですけど
   この先どうなんでしょうか。この(ハイイールド)『市場』というのは?


  ◇土屋剛俊 クレジットアナリスト みずほ証券 ※信用リスク分析に精通
   まああのぉ結局『サブプライム』とは違いますのでぇ。証券化をして値段がすごく
   下がっちゃって・投資する価値が無かったものに投資をしていたから問題が
   大きかったわけですが、コレはそこまでではないので、あの「流動性の問題」で
   「一定以上価格が下がり得る」ってだけですから、ある一定のところまで行けば
   相応の安定化が見られるかなっていうのはあるかと思いますね。


  ◇佐々木明子 MC
   でも大本はやっぱりその「流動性」まあ「金融規制が強すぎる」というのも
   実は背景にあるわけですね。 分かりました。ありがとうございました。

 

 

◇感想‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

┣・これまた結構いい特集でした。経済誌などで散々指摘されている項目ではありますが
  こうした講義を受けるとホント分かりやすいです。授業ってこんな感じだったのね。
  高校時代は人間不信に陥って“狂気”の最中を漂っていたからなぁ。(^^ゞ損したね

┣・『クレジット市場』では「住宅」に替わる「自動車」のサブプライム下層者ローンが
  懸念されていますね。また日本、いや欧米・先進国全体で学生ローン奨学金の問題が
  くすぶり続けています。新社会人となった途端に数百万円規模の支払いが始まる
  わけですから、堪ったものではありません。ここにも格差が生まれてしまうことに
  教育現場に携わる者達は知らなかったとでもいうのでしょうか? *汚い奴等でさ*

  まあ「大学卒業」=「安定した企業に就職」と安易に思い込んだのも甘いんだけど。

  『あまちゃん』バカに流行ったものねぇ。私はまともに見たことないけど。
  周りの人間に感化されやすい気質にも問題あると思うんだわ。最後は自分自身なのに

www.bloomberg.co.jp


┗・話が逸れましたが、この米『ハイイールド債』の償還が『エネルギー』関連企業では
  来月2016年4月に集中しているって話です。1社、2社と立ち行かなくなると
  再びあのバカ騒動が起こるのかもしれません。今度はより多くの国々を巻き込んで。
  ・・・ 少し怖くなってきた。とりあえず2016年4月末までは様子見確定だね。(苦笑)