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シリアを舞台に米ロ対決 新たな冷戦か !? ロシアの世界戦略

2015/10/19(月)<シリアを舞台に米ロ対決 新たな冷戦か !? ロシアの世界戦略>
ワイド!スクランブル】 http://www.tv-asahi.co.jp/scramble/

 ワイド!スクランブル|テレビ朝日


*敬称略しています。 また長文ゆえ誤字脱字が多いです。ご了承ください。


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┏┓池上彰×増田ユリヤ <シリアを舞台に米ロ対決 新たな冷戦か !? ロシアの世界戦略>
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  新たな冷戦構造が浮かび上がってくる、ロシア・プーチン大統領の思惑とは?


           池上彰 × 増田ユリヤが徹底解説 !!

 

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┣■新たな冷戦か シリア内戦の構図


  2015年10月1日
 ◇プーチン大統領 ロシア
  彼らは国際的なテロ集団だ。彼らがロシアに来る前に
  シリアを占領した【IS】イスラム国のメンバーを殲滅しなければならない。


  先月2015年9月28日
 【米ニューヨーク】
  国連で過激派組織【IS】排除に向けて「軍事介入を明言」していた
  ロシアのプーチン大統領。ついにロシア軍がシリア領内にある【IS】の拠点へ
  空爆を開始した。


・しかし【IS】の掃討作戦を進めている欧米からは異論が出ていた。

  2015年10月1日
 ◇カーター国防長官 アメリカ
  今回ロシアが空爆した地域は【IS】が存在していなかった可能性があります。


 ・一方、ロシアは今回の攻撃をこのように説明していた

  先月2015年9月28日
 【米ニューヨーク】
 ◇プーチン大統領 ロシア
  テロ掃討作戦は「シリアの政治プロセスと平行して行うべきである」と強調したい。

                 シリア
 ・ロシアは長らく同盟関係にある【アサド政権】を軍事的にサポートしようという。


 ・しかし「シリアの民主化を阻んでいる」として【アサド政権】打倒を画策している
  アメリカは猛反発。

  2015年10月2日
 【米ワシントン】
 ◇オバマ大統領 アメリカ
  単に「【反アサド政権】の勢力を排除しようとする」ロシア側の行動には
  我々は賛同することはあり得ない。


 ・【IS】への攻撃は【半アサド勢力】を駆逐するための口実だとするアメリカ。

  一方ロシアは今回初めて“巡航ミサイル”を投入。

  国営テレビ
 【ロシア24】
  天気予報で、女性キャスターが

  「シリアにおけるロシア空軍の作戦が続いています。
   専門家によると天気図から見れば空爆作戦を行うには良い天気です。」

  と放送された。  ※世界中で見られたことでしょうね。真っ赤な彼女。。。


 ・【IS】イスラム国掃討作戦で対立する米ロ。
  プーチン大統領の思惑とは一体ナニか !?

 


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┣■新たな冷戦か シリア舞台に米ロ対立


 ◇橋本大二郎高知県知事/元NHK職員
  この地域は第一次大戦の頃から、帝政ロシアも含めて大国の思惑に翻弄されてきた所
  ですので、その構造が今になっても変わったいないんだなってことを思いますよね。


 ◇池上彰 ジャーナリスト
  そうなんですね。こういう『国際情勢』を知るにはちょっと前に遡って
  『世界史』を紐解くとですね、やはりこう「現在が見えてくる」と思うんですよね。

  で、特に『シリアの内戦』にロシアが介入してきたことで、
  アメリカとロシアの新たな対立。「新たな冷戦か !? ロシアの世界戦略」といわゆる
  東西冷戦が終わって、と言ってましたけど、また新たな冷戦が始まるのかもしれない
  さぁどうなんだろうということで、見ておこうと思うのですが、
  じゃあ、そもそもシリアはどうなっているのか。増田さん、お願いします。


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 ◇増田ユリヤ ジャーナリスト(27年余り高校で歴史を教えた。国際ジャーナリスト)
  ハイ。そのシリアを考える上で、今年2015年の『ノーベル平和賞』についてお話を
  したいと思います。

  今年2015年
 『ノーベル平和賞
  チュニジア国民対話カルテット(4団体) ※一般の民間団体
  中東の民主化運動『アラブの春』のきっかけとなったチュニジアでの民主化に貢献。
           2010年~


 『アラブの春
  チュニジアは上手く行っているが、他の地域はなかなか上手く行かない状況。


 ・今年の『ノーベル平和賞』はチュニジアでの彼らを見習って、
  他の地域も頑張って民主化を進めて欲しいという思いがあったのではないか?


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 【シリア】
  4年前に長期に渡る【アサド政権】に対する民主化運動『アラブの春』が起こった。
  そこに【IS】イスラム国が対抗してきて“三つ巴”の争いになってしまった。

  このときロシアは【アサド政権】を支援していた。※主に武器の供給など

  一方でアメリカは有志連合と共に【反体制派】を支援した。
  アメリカは「民主主義」を是とする国。
  大量に国民を殺してしまった【アサド政権】というものが許せず、支援をしている。

  だが、難しい問題も。

  【反体制派】には「自由シリア軍」と過激派組織「アルカイダ系組織」なども
  いるため、中々全面的に支援することができなかった。


  <【シリア】国内 主な勢力図>

   ・シリアの人権監視団の報告によると、

    今、【アサド政権】は【反体制派】と【IS】の攻勢を受けて
    国土の4分の1しか支配ができていない。※西の国境一体
    国内を統治しきれていないと指摘されている。

   ※【反体制派】の拠点は【アサド政権】を囲むように点在。
    【IS】の拠点はさらにその外側にある。 ※原油の産地とも言われる

   ※またトルコとの国境付近は【クルド人支配地域】となっており、
    その帯域を分断するように【IS】が大きく割り込んでしまっている。
    勢力図からはトルコ国境とはどの勢力も接した状況下にあるようだ。


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 ◇大下容子 キャスター
  ということは【アサド政権】は「崩壊に近い」状況ということなのでしょうか?


 ◇池上彰 ジャーナリスト
  うん、よく『シリア難民』って言いますよね。
  当初はいわゆる【反政府勢力】の人達が【アサド政権】からの攻撃を受けて
  「命の危険を感じて逃げ出してきた」人達がいたわけですけど、最近あの
  ヨーロッパに来る『シリア難民』という人の中に、結構お金を持っている人達がいる
  んですね。これが【アサド政権】側に住んでいて、これまで特権的な生活をしていた
  人達がきちんとパスポートを取って正規に出国をし、ヨーロッパに逃げて来る人達が
  出始めたんですね。
                    ◇橋本大二郎高知県知事/元NHK職員
  そういう危機感を持つ人達が出て来た。 このままでは体制が変わるかもしれない。

  となりますと「さあ【アサド政権】が崩壊したら大変だ」と考えたロシアがですね、
  「じゃあ今度は【IS】の空爆をする」とこういう形で【IS】の攻撃をする。

  あっアメリカと同じことをするのかな?と思いきや、
  実はアメリカが支援している【反体制派】もこちらもまとめて空爆をしている !? と
  アメリカは見るようになった。


  ロシアは【反体制派】が支配している地域(イブリブ/ハマ/ホムス)を集中的に
  空爆している。つまり「【IS】を攻撃するぞ」と言いながら、実は【IS】でなく
  米国が支援をしている【反体制派】の地域、この辺りを集中的に空爆しているのでは
  ないか?

  「【IS】を攻撃するぞ」と言えば国際的な世論も・支持が得られる。と言いながら
  実際には【アサド政権】を守るために、【アサド政権】に反対している連中は全部
  無差別に攻撃をしているのではないか?


 ◇橋本大二郎高知県知事/元NHK職員
  だからアメリカはロシアが空爆してるのは【IS】じゃない。【IS】のいないとこ
  ばかりだということを言っているわけですね。


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  2015年10月1日
 ◇アーネスト報道官 アメリカ
  ロシアが軍事行動を行っている地域には【IS】イスラム国はほとんどいない。

 ◇ラブロフ外相 ロシア
  私達は【IS】イスラム国や他のテロ組織と戦うと言っているアメリカと同じ立場だ

  ↓ ↓ ↓

  2015年10月14日
 ◇カーター国防長官 アメリカ
 (【アサド政権】を支援する)そんな誤った戦略を追求する限り、
  ロシアと協力するつもりはない。


 ◇池上彰 ジャーナリスト           ◇橋本大二郎高知県知事
  「アメリカはロシアと一緒にやれませんよ」  そもそも「情報合戦」みたいな所も
  という対立構造になっている。        あるでしょうからねぇ。うん。

 


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 ◇大下容子 キャスター
  アメリカとロシアだけではなくて【アサド政権】に関しては中東の国々の意見も
  分かれているようなんですね?


 ◇増田ユリヤ ジャーナリスト(27年余り高校で歴史を教えた。国際ジャーナリスト)
  そうなんですよね。それぞれ周辺の国で、宗教的な宗派によって事情が違っている
  んですね。


 【反体制派】を支援
  スンニ派:サウジアラビアカタール

 【アサド政権】を支援
  シーア派:イラン


  同じ中東の中でも勢力が分かれる状況になっている。


 ・ペルシャ湾を挟んで
             イラン
  イスラム教のスンニ派とシーア派が対立してきた今までの経緯があるので
        サウジアラビアカタール

  その両者のいわば“代理戦争”のような様相を呈してきている。


 ◇池上彰 ジャーナリスト
  ですから『東西冷戦』の頃は
  「資本主義」か「共産主義」かというイデオロギーの対立構造でしたよね。

  ここを見ますとイスラム教の「スンニ派」か「シーア派」かという宗教対立の構造、
  さらにそこにロシアとアメリカが参加するという、全く新しい対立構造ですよね。
  だから“イデオロギーの対立”というよりは“宗教の対立”であり、
  さらに“覇権“を巡って“資源”を巡っての争いというわけで、これをいわゆる
  『新しい冷戦』と言っていいかどうか、またこれも議論が分かれるところなのですが
  まるで新しい冷戦のような構造が生まれるのではないか?と言えると思うんですよね


 ◇橋本大二郎高知県知事/元NHK職員
  イスラム過激派はアレですよね、もちろん「宗教の対立」もあるでしょうけど、
  いろんな「石油とか利権」のこともなんか絡んでそうですよね。

  アメリカが支援している「自由シリア軍」に本格的に支援に踏み込めないような
  雰囲気を感じるんですけれども、そこにはなんか「自由シリア軍」そのものにおける
  問題点か、そういうこともあるんでしょうか?


 ◇川村晃司 テレビ朝日コメンテーター
  先程増田さんが仰ったその『アラブの春』以降ですね、エジプトとかシリアは
  もう国家がかなり分裂状況になって、リビアなどは成功したわけですね。

  その時に【アサド政権】から離れて、つまりは「自由シリア軍」という名の下に
  アメリカからの援助を受けていた人達が今一番この弱小化してるんですね。

  というのは、シーア派アラウィー派っていうのが【アサド政権】ですけれども
  そこの人達、それから他のシーア派の人達、さらには追い詰められたアルカイダ
  ウスラ戦線っていうところがありまして、ここも今かなり強力にはなってきている
  んですけれどもここはスンニ派なんです。

  従ってスンニ派の人とシーア派の人達が一緒になって「自由シリア軍」という形に
  なっているので、まあかつてハンティントンさんが『文明の衝突』って言いました
  けれども、アメリカはイラクを今度シーア派政権にして、さらにイランもシーア派
  政権を応援していく。

  アメリカ自身がですね、やはり「宗教の構造を分かっていない」で「自由シリア軍
  を応援してしまっているので、今のところまだ【国連】総会にも【アサド政権】の
  代表者が・外相がですね、招かれている。つまり【国連】では国際法上、
  「【アサド政権】が今唯一の合法的な政権なんですよ」と認めているわけですね。

  従ってアメリカが地上部隊を送ったり、かなり強烈な爆撃をしたりすると、これ
  国際法上いわば侵略行為だ、間接的な違法行為をしてるってことになって、かなり
  混乱をさらに極めていく。そこをロシアが(隙を)突いたって感じですねー。


 ◇池上彰 ジャーナリスト
  特にアメリカのオバマ大統領としては、また地上軍を送ると泥沼になりますから
  「なんかそういうことはやりたくない」と躊躇している時にその隙を突いてロシアが
  乗り出してきた。ということなんですね。

  そしてその今回のそのロシアの行動の根底にあるのはですね、プーチン大統領の野望
  “強いロシアの復活”なんですね。

 

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┣■シリア空爆の背景に「強いロシア復活」


  <ロシア シリア空爆の理由>

   1.アサド政権の存続・支援
   2.EUに対する威圧
   3.中東への影響力回復・拡大


 ◇池上彰 ジャーナリスト
  ロシアはもちろん同盟国である【アサド政権】を守りたい。これを崩壊させたくない
  わけですね。

  ところがですね、ロシアはかつて中東に大変な影響力を持っていました。


  <【アサド政権】の存続・支援>

   2003年 フセイン政権崩壊(イラク戦争) ※ソ連時代に大きな影響力を持つ
   2011年 カダフィ政権崩壊(リビア)   ※アルジェリアソ連寄りだった

  ※イエメンなども昔は『東西冷戦』で南北に分かれていて、
   南イエメンソ連系だった。ソ連が崩壊した結果、イエメンは統一された。


  ・シリアの【アサド政権】は中東で唯一の足場。 ※何が何でもシリア!という感じ

 

 ◇増田ユリヤ ジャーナリスト(27年余り高校で歴史を教えた。国際ジャーナリスト)
  ロシアにとってはこれまでずっと北の国ですから、凍らない海が欲しい。
  「不凍港」が欲しい。それを実現してくれたのがシリアという国なんですね。
  【タルトゥース】という街に港が確保されているので、プーチン大統領にとっては
  シリアの政府が非常に大事な存在になっているというわけです。


 ◇池上彰 ジャーナリスト
  さらにこのEUへの威圧ということになりますと、
  去年2014年、クリミア半島をロシアが“無理矢理”併合しました。
  それに対してEUが経済制裁を発していたりするわけですね。

  そのEUというのはまた軍事組織として【NATO】というのを持っているわけ
  ですね。で、今回ロシアのシリアの空爆というのはですね、
  その【NATO】に対する威圧・デモンストレーションがあるのではないかと。

  特にトルコ領空をロシア軍戦闘機が侵犯しています。トルコは実は【NATO】に
  入っているんですね。【NATO】の加盟国に対してこういう挑発行為をしていたり
  あるいはロシア海軍が巡航ミサイル26発を発射いたしました。2015年10月7日
  これカスピ海から発射したんですが、この射程距離が1500~2500kmと
  言われてまして、(中央アジア~東ヨーロッパまで届く範囲。)今回シリアに
  撃ち込んだんですけど「ロシア軍はこれだけの力を持っているんだぞ」という
  そのアピールの意味もあったのではないかということなんですね。


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 ◇橋本大二郎高知県知事/元NHK職員
  アメリカがですね、自らイラクで混乱を起こしてその始末も付いていない。
  で、シリアもそういう状況でなかなか手が出せないと。そこをやっぱり
  ロシアが隙を突いているって感じなんですかね?


 ◇増田ユリヤ ジャーナリスト(27年余り高校で歴史を教えた。国際ジャーナリスト)
  あのさらにロシアはですね、このイラン・イラク・シリアに加えてですね、
  4ヵ国共通の『対イスラム国情報センター』というものをイラクバグダッド
  作るというようなこともしています。つまり「アメリカは頼りにならない」。
  「ロシアを頼りにしてくれれば【IS】イスラム国の問題も解決できるよ」と
  いうような形でロシアの影響力を強めている、ということなんですね。


 ◇橋本大二郎高知県知事/元NHK職員
  こうやってその「三すくみ」か「四すくみ」か分かりませんけど、
  シリアで内戦が続く。一番こう疲弊していくのは「国民の暮らし」ですよねぇ。


 ◇萩谷麻衣子 弁護士
  そうですよね。あのアメリカ自身も支援体制を一回考え直さなければいけないという
  ことが表面してますし、アメリカが悩んでいる内に【IS】の勢力が伸びてくれば
  プーチン大統領が言う「【IS】を倒すためには【アサド政権】を支援する必要が
  あるんだ」ということは、あの国際世論としてもそれが支持されていく可能性もある
  と思うんです。ただしここで【アサド政権】は民間人に化学兵器を使ったり、まぁ
  拷問したり・虐殺したという非人道的な政権ですから、それが統治するということは
  やっぱりシリア国民にとって「とても幸せになると思えない」。やっぱり国際社会
  としては一体となって【IS】をどう叩いていくか、それでシリアにどう民主的な
  政権を確立していくかってことをきちんと考えてきちんと対策を取っていかないと
  いけないだろうなと凄く思いますね。(悲)

 

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┣■「ロシア帝国」復活へ プーチン大統領 野望と本気度

 

  ロシア連邦大統領
 ◇ウラジミール・プーチン

  1952年 旧ソ連 レニングラード 生まれ。

  2000年 大統領就任
        諜報機関【KGB】の職員から破竹の勢いで権力の頂点に上り詰めた。

 ・「肉体を鍛える」ことへは、かなりの“こだわり”を持っている様子。

  2007年 ロシアの大衆紙が一面でシベリアで釣りをするプーチン大統領を掲載。
        見出しには「プーチンのようになろう」という文字が躍った。

        ※上半身裸で竿を振っている写真。どうしたらプーチンのような肉体に
         なれるかを各部位、イラストで解説・アドバイスしている。(笑)

moutube.blog117.fc2.com


 ・その後を自らの肉体を強調する様子が度々報じられた。

        ※上半身裸で乗馬、戦闘機をバックに、飛行機を自ら操縦する写真など


 ・国民の支持を背に、長期政権を目論むプーチン大統領

  目指すのは大帝のような強いリーダーなのだろうか !?


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 ◇橋本大二郎高知県知事/元NHK職員
  中国の習近平主席も、皇帝に近い権力を掌握しているんじゃないかと言われますけど
  パフォーマンスでやっぱりこのプーチン大統領には敵いませんよね?

                         *スタジオ内(苦笑)*

 ◇池上彰 ジャーナリスト
  確かに(笑)、そうですね。(笑) 先程見られたコレですね。
  なんで馬に乗るのに裸にならなきゃいけないんだろうか?
  筋肉ムキムキ、マッチョなリーダーだというところを、強いリーダーっていうのを
  アピールしているわけですね。

  そこにはですね、実は歴史上のある人物に憧れているということがあるんですね。

 

 ◇増田ユリヤ ジャーナリスト(27年余り高校で歴史を教えた。国際ジャーナリスト)

 【ロシア首相の執務室】
  プーチン大統領も首相だった時代にこの部屋で過ごす。※格調高い壁に囲まれている

  壁に1枚の肖像画が飾られている。

  ロシア帝国初代大帝のピョートル大帝。チャーリ(?)と呼ばれた人。
            在位1682~1725年

            スウェーデンを破ってバルト海を制圧。

  それからもう1人、エカテリーナ2世。
            在位1682~1725年

            クリミア半島オスマン帝国から奪う。


  そんな強い時代を築いた二人にプーチン大統領もなぞらえて、
  この強い二人を理想にしているところがあるんですね。


  それからプーチン大統領旧ソ連 レニングラードの出身とありましたが
  現在のサンクトペテルブルクという場所です。

  で、ピョートル大帝の時にその時代の首都がこのサンクトペテルブルク、今のですね
  移されました。ここの出身なんです、プーチン大統領というのは。なので余計に
  思い入れが強いというわけなんですね。(笑)


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 ◇大下容子 キャスター
  ロシア国民も「強いリーダー」を求めるというところがあるんでしょうか?


 ◇池上彰 ジャーナリスト
  そうなんですよね。2000年に大統領に就任した時のスローガンが
  「強いロシアの復活」。あるいは「秩序あるロシアの復活」。

  つまりかつてソ連が崩壊していた、エリツィン大統領の下でロシア大混乱したわけ
  ですよね。それをこう秩序立てて「強いロシア」にしようというのが
  プーチン大統領のスローガンだったということなんですが、


  <ロシアのシリア空爆に関する国民意識調査> ※2015年10月2日~5日
                         ロシア「レヴァダセンター」HP
   賛成    72%
   反対    14%
   わからない 14%


  <プーチン大統領の支持率>         ※ロシア「レヴァダセンター」HP

   2012年5月 大統領再就任   支持 69% / 不支持 30%

   2014年3月 クリミア併合   支持 80% / 不支持 18%
       ※強いロシアをアピール

   2015年9月          支持 84% / 不支持 15%


 ◇池上彰 ジャーナリスト
  「強いロシア」を進めるプーチン大統領に支持が集まるってことですかね。


 ◇橋本大二郎高知県知事/元NHK職員
  18世紀にこれクリミアを初めて手に入れたのが、プーチンが尊敬する
  エカテリーナ2世だということはこれは「プーチン大統領の」というだけではなくて
  「国民の悲願」だったっていう感じもあるんですかね?


 ◇川村晃司 テレビ朝日コメンテーター
  やっぱり今、池上さんが仰ったように「強い大国」をプーチンだから出来るんだって
  いうような思いもあるんだと思うんですね。

  しかしやっぱりその、プーチン氏の「政敵」って言いますか
  ライバルが国内に全くいない状況だからこそ「もうしょうがない」という部分も
  含めて支持率は上がっているんだと思いますね。 *男性陣(苦笑)*


 ◇橋本大二郎高知県知事/元NHK職員
  それにしてもいかに「支持率高い」と言っても『資源価格』。一番ロシアの経済を
  支えてきた資源の価格がドンドン落ちている、低迷してると。その様な中で大丈夫
  なんですかね?


 ◇池上彰 ジャーナリスト
  いやいや(苦笑)、経済的に言うと本当に大丈夫なのかな?と思ってしまうのですが
  そうやって強い大統領をアピールし、アメリカと対立をする。例えば、資源価格が
  下がっているのはアメリカのシェール革命によって石油の値段がこんなに下がって
  いるんだ。「アメリカの陰謀なんだ」という言い方をロシアはするんですね。
  アメリカの陰謀によってロシアの経済は苦しいんだけれども、
  それをプーチン大統領が救おうとしてくれている。というこういうアピール。

 

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┗■ロシア「今後の世界戦略」 新たな冷戦で日本は・・・


 ◇萩谷麻衣子 弁護士
  なんかロシアは「アメリカ1強」っていうのは快く思っていないし、それにあの
  ただアメリカに自分達の経済状況でとって変わろうとか・取って代われるかとは
  思っていないと思うんですね。

  むしろ不気味なのは今後、中国とどう手を組んでヨーロッパやアメリカを押さえて
  いくか、というところに戦略を移していくのではないかなというところがちょっと
  疑問に思います。


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 ◆ロシアの「今後の世界戦略」


 ◇増田ユリヤ ジャーナリスト(27年余り高校で歴史を教えた。国際ジャーナリスト)

  先程もあのお話ししましたが、ロシアが帝国として一番大きな版図を誇っていた時代

  ウクライナバルト三国も全部ロシア帝国、一大帝国を築いていたわけですよね。

  で、このサンクトペテルブルクを首都としていた。この時代に理想を求めていると
  いうことなんですけれども、『東西冷戦』が終わった後はやはりロシアの勢力は
  低下して「アメリカの一極集中」のような状況になって、今、アメリカが元気が
  無くなったという時に、やはりここで「この時代をもう一度と」やはり歴史の中に
  理想を求めているのがプーチン大統領なのかな、という気がしますね。


 ◇池上彰 ジャーナリスト
  こうやってみるとですね、世界の様々なニュースで、ちょっとその国の前の世界史を
  一度振り返るといろんな思惑が見えてきますよね。


 ◇増田ユリヤ ジャーナリスト(27年余り高校で歴史を教えた。国際ジャーナリスト)
  ホントですよねぇ。私も教えている時代はそんなこと考えたことはあまりなかった
  んですが、いかにこう世界のリーダー達が自分達の国が繁栄した時期に理想を求めて
  いるか。この例を見るだけでも分かりますよね。


 ◇橋本大二郎高知県知事/元NHK職員
  プーチン大統領の訪日というのは立ち消えになったという形なんですけれども
  今後ですね、この今、萩谷さんが仰った中国との絡みとか、いろんな意味の難しさ
  とか出て来そうですねぇ。


 ◇川村晃司 テレビ朝日コメンテーター
  えぇ、私あのぉ中東に関して言いますと、ロシアよりも中国がですね、
  物理的・経済的な支援・資源というものに対して、きちんと対応していて、
  あまり宗教に対する深入りをしていない。

  従ってアメリカもロシアもこれから一番大事なのは、シリアを含めた中東の
  宗教的和解をきちんと行うような形で、宗教を理解した形の対応と言いますか
  外交が必要だろうと思いますね。「旧ソ連邦に戻るってことはできない」と
  思いますから。


 ◇大下容子 キャスター
  私は2013年の9月にオバマ大統領が「アメリカはもう世界の警察ではない」と言った
  その半年後にロシアがクリミア半島を取ったり、中国が南沙諸島の埋め立てを
  ピッチを上げたりして、やはりこう関与をすることが大事なのか、それとも
  関与をすることが余計なお世話なのか、どう思われますか?


 ◇池上彰 ジャーナリスト
  そうですね。つまり前は「アメリカは世界の警察官を気取ってる」って批判された。
  じゃあ「世界の警察官、辞めますよ」と言った途端に「それじゃあ・・・ 」という形で
  ロシア・中国が出てくる。まさにそういうアメリカの立場もまた難しい・苦しいとこ
  ですよねぇ。


 ◇増田ユリヤ ジャーナリスト(27年余り高校で歴史を教えた。国際ジャーナリスト)
  「重し」がやっぱり必要なのかもしれませんよね。(笑)
  いろんな行動に対する・・・


 ◇橋本大二郎高知県知事/元NHK職員
  今日のテーマは「新たな冷戦か?」ですけど、
  『東西冷戦』の時はベルリンの壁があったじゃないですか。
  今回壁がないだけに非常に危ないですよねぇ・・・

 

 


◇感想‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

┣・本人の発言がないだけに歴史上の偉人に憧れているという説は少し強引さを感じた
  けれど、まぁほぼ当たっている感じですよね。

┣・ロシアのシリア空爆への経緯はこれで理解できました。ちょっと勘違いしてました。
  アメリカからヘルプを依頼されたわけじゃないんですね。両大統領の構図から勝手に
  想像してしまいましたよ。(苦笑)

┗・シリア難民でお金を持っている輩は非人道的な行為をした【アサド政権】下で保護を
  受けていたエリート層? こう報道されるとまた違った印象を持ってしまいますね。
  そんな彼らが蟻の子を散らすように国外へ逃げ出した。もう戻る気ないでしょうね。
  2千万人?規模の国民を受け入れろっていうのも無理な話のように思えてきました。

  やはり「一時待避所」を世界各地に点在させて分散させるしかないように思うなぁ。
  最低限の食糧・自給自足はできる環境にしてね。