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空襲などの被害を巡って、新資料が明かす“救済・補償の方針”

2015/08/11(火)<空襲などの被害を巡って、新資料が明かす“救済・補償の方針”>
【NHKニュースウオッチ9】 http://www9.nhk.or.jp/nw9/

www9.nhk.or.jp


*敬称略しています。 また長文ゆえ誤字脱字が多いです。ご了承ください。


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┏┓ <空襲などの被害を巡って、新資料が明かす“救済・補償の方針”>
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 ・太平洋戦争の末期、米国軍の空襲によって日本の各地は大きな被害を受けた。

  この内、原爆によって被害を受けた被爆者人には一部、医療の面などで国の
  援護があるが、東京大空襲など原爆以外の空襲の被害者には国による救済は
  ない。

  なぜこうした違いが出来たのか。その鍵となる新たな資料が見つかった。

 

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┣■空襲などの被害者救済は“新資料”が語る


 【大阪府堺市

 ◇安野輝子さん(76)  ※とても可愛らしい人。美人。
 ・6歳の時、鹿児島県で空襲に遭い、膝から下の左足を失った。
  空襲による被害を救済して欲しいと国家補償を求め、平成20年(2008年)に
  訴えを起こしたが敗訴・退けられた。控訴上告したものの、訴えは認められず
  国からの補償は受けられなかった。

  弱い立場というのかな、そういうの虐げられてねぇ、あの傷ついて
  ただでさえ苦しんでいるのにね。さらに上を押さえつけるなんてね、ウン。
  何という社会なんだろうってそれは思いました。ウン。


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 ◆太平洋戦争末期。日本各地に及んだ米国軍の空襲。
  戦後の国の調査では200以上の都市が被害を受けた。
  亡くなった人は空襲による被害者だけで約20万人に上るとされている。


  <日本(本州)への空襲>

  昭和19年(1944年)11月 東京/沼津/磐田/田辺/福岡/大村
               大牟田/長崎/佐世保 ほか

  昭和19年(1944年)12月 東京/横浜/名古屋/大阪/塩釜/川越
               清水/静岡/浜松/大村 ほか

  昭和20年(1945年) 1月 東京/横浜/名古屋/大阪/神戸/沼津
               浜松/伊勢/和歌山/高知 ほか

  昭和20年(1945年) 2月 東京/横浜/川崎/名古屋/大阪/神戸
               太田/静岡/浜松/松坂 ほか

  昭和20年(1945年) 3月 東京/横浜/名古屋/大阪/神戸/盛岡
               平/大垣/八幡浜/鹿児島 ほか

  昭和20年(1945年) 4月 東京/川崎/横浜/名古屋/神戸/郡山
               太田/津/宇部/鹿児島 ほか

  昭和20年(1945年) 5月 東京/川崎/横浜/千葉/名古屋/神戸
               浜松/岡崎/徳山/久留米 ほか

  昭和20年(1945年) 6月 東京/千葉/横浜/名古屋/大阪/神戸
               日立/静岡/京都/姫路/岡山/下関
               福岡/鹿児島 ほか

  昭和20年(1945年) 7月 東京/川崎/横浜/名古屋/堺/大阪/神戸
               室蘭/青森/仙台/浜松/岐阜/福井/高松
               高知/大分 ほか

  昭和20年(1945年) 8月 東京/川崎/横浜/大阪/神戸/秋田/釜石
               水戸/高崎/長野/長岡/富山/敦賀/岩国
               宮崎 ほか


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 ◆「空襲などの被害者は国の救済の対象としない」


 ・その方針に大きな影響を与えたと言われているのが、
  実は原爆の被爆者への対応について話し合われた国の懇談会だった。


 ・当時の【厚生省】が昭和54年に設置。
  メンバーは元裁判官や元外交官といった有識者7人で、
  【厚生省】の官僚も議論に加わり、非公開で進められた。(橋本龍太郎の姿有り)

  「被爆者救済」がテーマだったが、議論の過程で突き当たったのが
  「空襲被害者」などへの対応だった。


 ・当時、被爆者へは原則「放射線被害」が認められた人に対して医療面などでの援護
  があった。これに加えて懇談会では「放射線被害が認められなくとも原爆で怪我」
  をした人も救済できないか議論された。

  しかしこれを認めた場合、「空襲など他の戦争被害者」にも救済の範囲が広がって
  しまうと指摘されたという。


 ・懇談会ではこの点について「国としてどう対応すべきか」議論が繰り返された。

  ◇委員の発言
   原爆の被害者に対して、特別の国家補償的な処置をするということなら
    3月10日(東京大空襲)の被害者はどうなる?

  ◇委員の発言
   もしそれ(国家補償)をやろうとすれば、無差別に補償要求が出て
   日本の財政はとても保たないし、国民は納得しないと思うんですね。

  ◇委員の発言
   政府は一般戦争損害への波及を恐れて、表向きは特別の社会保障であると
   説明してきた。国家補償であると明言されると、国家補償という
   言葉のみが一人歩きして他の各方面に悪影響を及ぼすのではないかという
   強い懸念が一部である。


 ・空襲など他の戦争被害者にも救済の範囲が広がることを懸念した内容だった。


  <NHKが入手した懇談会の文書>

  『第11回原爆被爆者対策基本問題』懇談会議事要旨
   昭和54年から非公開で開かれた、国の懇談会の議論を記録した文書。


   1.原爆被爆の特殊性について

    〇 御園生  広島・長崎の原爆被爆が戦争終結の直接の原因となった
           という点についても、全体として見た被爆状況は極めて
           悲惨であるが、個別的に見た時には、その被害の程度は
           様々だという点についても上手く表現されていると思う。

           答申案の前半部分では被爆状況を論ずる際、原爆の威力
           全体を問題にしているが、後半の部分では放射能の影響
           に重点が映ってきている点が若干気になる。

    〇 緒方   熱線・爆風・放射能による総合的被害の問題から放射線
           による被害の問題へと論理が飛躍しているように思う。

    〇 御園生  一般戦災者と比較した特殊性を云うするなら、放射線障害
           の特殊性を強く取り上げざるを得ないのではないか。

    〇 御園生  「複合作用」という言い方は気になる。ある線を超えれば
           放射線量はゼロとなり「複合作用」は起こり得ない。


   2.被爆者対策の基本理念について


    〇 大河内  感想を述べさせてもらうと、この案ではまず原爆の被害は
           特別な犠牲であると述べ、国は国家補償的施策として対応
           してきたとしている。他方で、一般戦災者とのバランスを
           考慮すべきだとしている。こうした二つの流れがこの案の
           中にはある。

           特別の犠牲に対し、国家補償的に対応するという点については
           国民の合意が得られると思うが、それが一般戦災者との
           均衡の取れたものでなければならないという点については
           必ずしも論理的でないと思う。

           今のままでは、二つの考え方の流れが一つにまとまっていない
           ように思う。このまま世に出ると、前者のみつまみ食いされる
           恐れがあるのではないか。

    〇 大河内  被爆者対策は、****(ロゴに隠されて見えず)に対する
           施策と同じく国家補償の*****にて行うべきだという
           **************************
           本懇談会で「国家補償の見地に以て、被爆者対策を行うべきだ」
           と云うとそうした主張に引きずられはしないか。

    〇 芽(?) 軍人・軍属等に対する施策との均衡については、ニーズに
           応じた重点的な施策を講ずるべきだという表現の中に含まれて
           いると思う。

    〇 大河内  本案でいうニーズは、被爆者の中で必要な者に手厚くという
           趣旨であろう。軍人・軍属等との関係について一言触れておく
           必要があると思う。


    <厚生省>  政府は従来から社会保障施策とは切り離して国家補償的立場で
           被爆者対策を論じてきたが、一般戦争損害への波及を恐れて
   特別の     表向きには特別の社会保障であると説明して来た。
   社会保障    従って国家補償であると明言されると、国家補償という
  (赤字で?が   言葉のみが一人歩きして他の各方面に悪影響を及ぼすのでは
   3つ書かれてる)ないかという強い懸念が一部である。


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 ・1年半に渡る議論の末、答申で示されたのは、
  戦争に被害者が押し流されて我慢するという『受忍論』の考え方だった。

  <答申の基本理念>
   戦争の非常事態の下で、国民が何らかの犠牲を余儀なくされたとしても
   それは国を挙げての戦闘による一般の犠牲として全ての国民が等しく受忍
   しなければならない。


 ◇館山不二夫(81) 担当課長(当時) 厚生省
 ・“国家財政を優先”して“救済の範囲を広げない”よう釘を刺されていたという。

  空襲被害まで来たら巨額ですよね。
  寝た子を起こすようなことはしてくれるなと。
  原爆の被爆者だけでも大変なところに、またなんで平地に反乱を起こすんだと。


 ・また別の元官僚からNHKの取材に対して手紙による回答が寄せられた。

  懇談会の議論は“国家の財政を守る”という大前提の下、進められたと
  6枚にも及ぶ手紙に綴られていた。(2015.8.9 付)

  このことは、当時の国民経済の状況から見て、戦争被害を全て補償することは
  不可能という以上に、あり得ないという感覚も、当時の常識的な意識では
  なかったとうか。


 ◇森田一衆議院議員 ※当時【大平内閣】で総理秘書官を務めていた
 ・“『受忍論』的な考え方は戦後を通じての内閣の共通認識”で、
  懇談会で覆ることはなかったという。


  例えば空襲を受けた人に全部補償するかというと財政的にもとても認められない
  というのが、歴代内閣の共通の考え方だったということですね。

  政権の方として、基本的に補償できるのは極限られた者だから、
  それ以外の方は我慢して頂くほかしょうがないと・・・


 ・その後の裁判の判決でも『受忍』の文字が目立つようになり、
  戦後処理方針の基本方針として『受忍論』の考え方が高まっていった。

 

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┣■欧州各国では・・・


 ◆一方、イギリスやドイツ、フランスなど欧州の各国では
  「戦争の被害を受けた民間人を支援する」制度が設置された。


 ◇田原総一朗(81) ジャーナリスト ※日本の戦後補償について取材してきた
 ・国民への補償が“財政上の課題を理由に官僚主導で結論づけられた”
  として問題だと指摘。

  問題は『受忍論』がいいか/悪いかではなくて、
  財政っていうのは国民の税金で決めるわけですからね。

  その「被害が少なかった国民」が「被害の多かった国民」にどう補償を出すか
  という話だから、それは当然国民が参加して頂く形で・国民が判る形で・
  国民に分からせる形で、常に決めなければならない。


 ・その上で、将来に向けてこうした議論が行われたことを明らかにし、
  伝えていくことが重要だと話す。

  被害を受けた人は身をもって分かっているけど、その人達がいなくなると
  そのこと自身が分かんなくなるから。今こそそういうことを言わないと!
  若い・戦争を知らない世代に伝えないと。
  それこそ戦争の酷さは皆分からなくなっちゃう。


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┗■スタジオにて


 ◇鈴木奈穂子 キャスター
  ン~・・・、空襲で被害を受けた人達の補償について、
  国がこのような気持ちでいたんですねぇ。(渋顔)

 ◇河野憲治 キャスター
  なかなかね、知られてなかったですね。あの今回の資料からはこうした
  戦後の、日本の歴史の断面が覗えると思います。

  先程、田原さんも言ってましたけれども、こうした歴史を知って伝えていくのが
  現代を生きる私達の努めだと改めて思います。

 

◇感想‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

┣・僅か9分ほどの特集とも付かないNewsだったが、内容はとても濃いと感じた。
  70歳以上の方の多くは空襲の経験者だ。しかし今回の堺市の女性のように
  受忍を余儀なくされた生活をされている。確かに財政的なことを思うと扱いが
  難しい問題だが、非公開で何でも決めてしまってきた、この悪い体質を改善
  していかないことには、将来に向けて何ら進展していかないと断言できる。
  新国立の問題にしてもそうだ。“密室”行為で責任ロスしてる場合ではない!

┗・ゆえに公務員には額に「公」の焼き印を押せって私は言うんだよね。一目で
  判るから。何十万人も同じ焼き印押してたら、そんなに目立たないよ(苦笑)
  己の意志で『公僕』を選んだんだからね。強い責任感を以て職務に当たって欲しい。