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手記出版に猛批判 検証 元少年Aは更正したか

2015/06/14(日)<手記出版に猛批判 検証 元少年Aは更正したか>
【Mr.サンデー】 http://www.fujitv.co.jp/mrsunday/index.html

www.fujitv.co.jp


*敬称略しています。 また長文ゆえ誤字脱字が多いです。ご了承ください。


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┏┓特集 <手記出版に猛批判 検証 元少年Aは更正したか>
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┣■批判と抗議・・・ 元少年Aが手記出版10万部

 ・書店を覗けば大々的に平積みにされ、初版10万部が売り切れ続出。
  しかし売る店さえ・・・ 揺れていた。

  ・書店店長
   複雑な思いはありましたけれども、私自身子供がいないので、またそういった
   もしこどもがいたらちょっと違う(店頭に)出さないっていう手段も取ったかも
   しれないですね。


 『絶歌』元少年A著(大田出版刊)
  2015年6月10日の出版以降、波紋を広げる、32歳となった元少年Aによる手記。

  『神戸児童連続殺傷事件』
  ・1997年、少年A(当時14歳)は「酒鬼薔薇聖斗」と名乗り、小学生5人を襲い
   2人を殺害。

  事件の詳細や、今に至るまでの心境を自らの言葉で綴っている。


 ・これに対し遺族側は出版に強く抗議。出版社へ本の速やかな回収などを求める
  抗議文を送る事態に・・・ 。

  ・18年前、息子を亡くした父
   多大な衝撃を受けており、いたたまれない気持ちです。
   加害男性は「自己を正当化しているように思われます」。

 

 ・果たして元少年Aは更正したのか?

  「名前を失くした日」「生きるよすが」「それぞれの儀式」「原罪」
  「ニュータウンの天使」「精神狩猟者(マインド・ハンター)」「審判」


  294頁に及ぶ手記をつぶさに検証。専門家達が読み解いたのは元少年Aが

  「18年前と変わったこと」。そして「今も変わらぬ元少年A」の姿だった。

 

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┣■元少年Aは更正した? 手記294頁を検証


 ・「名前を失くした日」
  一九九七年六月二十八日。僕は、僕ではなくなった。

  事件の日ではなく、逮捕された日の『僕』の描写から手記は始まった。


 ・矢幡洋 臨床心理士 ※事件直後、元少年Aの心理分析の本を出版した
  まず手記のタイトルに注目した。

  特別な凝ったタイトルにしたということは、
  『酒鬼薔薇聖斗』というようなキャラクターを作って、そして脅迫状を出したと
  彼の中には物事を“ドラマチック仕立て”にしたいというような傾向というものは
  続いているなという風に思いました。

  ドラマチック性を好む傾向、それは文章からも見て取れるという。

  「こんな凄いことがあったんですよ」と少しもったいぶってから話し始めると。

  自らの罪を打ち明ける冒頭「原罪」には・・・ 「あなたはこれから神父になる。」

  犯行時の心境を語る冒頭には・・・ 「告白しよう。」


  ちょっと自分を
  “簡単に人に言ってしまうには、惜しいほどの重要なことを語りうる人間”だと
  いうことを、そういう気持ちが「まだちらほら見られるな」という気がいたします。


  思えば18年前の「犯行声明文」もこう始まっていた。「さあゲームの始まりです」

  今も変わらぬ少年Aの面影。


  『絶歌』元少年A著(大田出版刊)より

   一連の犯行に及んでいるあいだに、
   僕は、常に怯え、焦り、
   混乱していた。

   心の中ではパニックを起こし
   泣き叫んでいた。

   僕は冷酷非情な
   モンスターでも、
   完全無欠の殺人マシーンでも
   なかった。

   憐れなほど必死だった。


  犯行当時の心境を語るその言葉に、違和感を覚える人がいる。

 ・草薙厚子 ジャーナリスト/元少年鑑別所法務教官 ※元少年Aについて取材する
  この言い方っていうのは、やっぱり不快にさせますよねぇ・・・ 読み手を。

  彼の文章を読んで“模倣”なんですよね。“小説家”気取りみたいな。


  確かに手記には有名作家らの文章を引用が随所に見られる。

  村上春樹海辺のカフカ』/ドストエフスキー罪と罰』/松任谷由実砂の惑星


  2004年
  元少年Aは関東医療少年院を出て、21歳で社会復帰した。

  両親の元へは戻らず、日雇いアルバイトや溶接工、解体工事、ごみ収集など
  職を転々としながら生活をしていた日々についても手記には触れている。


  元少年Aの更正について、最も疑問に感じたのはこの記述。

  『絶歌』元少年A著(大田出版刊)より

   人物や動物や風景の写真を
   鋏で切り抜き、スティック糊で
   ボール紙にぺたぺた貼り付けて
   遊んだ。

   男性と女性の写真を
   それぞれ縦に真っ二つに切って
   張り合わせた、(中略)
   半男半女のキャラクター、

   人体をパーツごとにたくさん
   切り抜いて組み合わせた
   千手観音(中略)

   僕は時間が経つのも忘れて
   夢中で作った。


  少年院でも切り刻んだりね、体をバラバラにして貼り付けたりっていうことが
  あったら、やっぱり「まだ治ってないのかな」って思いますよね。

  (現在も)それが「絶対に改善してますよ」とは言えないと思うんですよ。


  そして何より少年Aが当時と何も変わっていない点を指摘した。

  『絶歌』元少年A著(大田出版刊)より

   十一年間、僕は、必死になって、
   地べたを這いずり、
   のたうちまわりながら、

   自らが犯した罪を背負って
   生きられる自分の居場所を、
   探し求め続けてきました。

   人並みに社会の矛盾にも
   ぶつかり、理不尽な目にも遭い、
   (中略)
   何もかもが嫌になってしまった
   こともありました。


  自分はすごい苦しい、いろんな仕事を沢山変えている。
  ね、そのことは分かりましたよ。

  だから自己顕示欲が強くって、いつも自分が一番で、その他なんですよ。


  その特徴が強く表れた記述があるという。

  『絶歌』元少年A著(大田出版刊)より

   大人になった今の僕が、
   もし十代の少年に

   「どうして人を殺しては
    いけないのですか?」
   と問われたら、
   ただこうとしか言えない。

   「どうしていけないのかは、
    わかりません。
    でも絶対に、
    絶対にしないでください。

    もしやったら、
    あなたが想像しているよりも
    ずっと
    、、、、、、
    あなた自身が苦しむ
    ことになるから」


  表面的には贖罪教育をやって遺族の方に申し訳ないということは書いてますよ、
  もちろん。だけどそれ以上に自分のことを大事にしているわけじゃないですか。
  “人を思いやる心”っていうのは培っていないなって・・・


  その一方で、別の見方も

 ・矢幡洋 臨床心理士 ※事件直後、元少年Aの心理分析の本を出版した
  全て自分が悪かったというトーンで、最初から最後まで続けられているという
  ところが1つの、他の凶悪犯罪者とはちょっと一線を画して見てもいいのでは
  ないかと私は思います。

  再犯の危険性というものも、私はこの本を読んでいる限りは感じません。

 

 ・井垣康弘 弁護士/元裁判官 ※元少年Aの家裁審判を担当した裁判官
  少年のある変化に注目した。

  自分のこれまでのことを隠さないで生きる方法を模索しようと決意したんだと
  思います。

  それから贖罪行為も始めさせることができると思います。

 

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┣■しかし、遺族の思いは・・・


 2015年6月14日 午後4時半頃 ※TVインタビューに顔出しで答える

 ・宮根誠司 MC
  まっ本を出すこと自体もそうですし、もう32歳なわけですね、彼も。
  実名で書いていないというのはどんなんだろう?と思われますけど
  (お父さん)どう思われますぅ?

 ・18年前、息子を亡くした父
  まあハッキリ言って“卑怯極まりない”ですよね。あのぉ本を出すのは、
  本を出して欲しくないのは当然そうなんですけど、
  出すにしても名前も顔も出さないって、これはもうあまりにも卑怯すぎるな
  というのが本音です。。


 ・宮根誠司 MC
  僕が思うのは本当に(お父さんの)前に行って、土下座をして謝って、
  ということが本当(はやるべきこと)だと思うし、
  ただただ謝る・・・ 謝罪するっていうことだけだと思うんですけれども、
  もう今回はなんか、今回の本は僕はそうではないように捉えたんですね。

 ・18年前、息子を亡くした父
  自分自身は内容を見てませんので、内容に関しては評価できませんけども
  まあ「許しがたい行為」だと思います。


 ・宮根誠司 MC
  (お父さん)としては当然世間の方々には(出版された本を)
  “読まないで欲しい”というお気持ちは当然おありですよね?

 ・18年前、息子を亡くした父
  ハイ。まず、、事件そのものが特殊な例だと思いますので、この事件を取り上げて
  そのぉ少年犯罪の普遍的な議論に繋がるとはとっても思えませんので、
  直ちにあのぉ、出版中止・回収をして欲しいと願っています。*語気強め*

  今回の件で彼に“子供は2回殺された”っていう風に思いました。

 

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┣■スタジオにて


 ・宮根誠司 MC
  (お父さんは)今回の本の出版も、お知り合いの方に聞いて初めて知ったと。
  もちろん許可も取ってなかった。話聞いた中でやっぱり“子供は2回殺された”
  てことに私は大変ショックを受けたんですが・・・ どういう印象をお持ちですか?


 ・中江有里 女優/脚本家/作家
  仕事柄、元少年A著書を読んだ。

  うん、あのぉ正直、手記というか「私小説」ですね。自分自身が主人公になって
  描かれて。ただ私は文章的にはその何かこう特段優れた感じというのは寧ろなくて
  あのぉ自分自身を飾り立てることに、なんかこう必死になっているというか、
  そんな風に感じました。先ほど臨床心理士の先生もおっしゃってましたけど、
  本当ドラマチックなんですよね。そういう風に仕立てることが目的だったのでは
  ないかなと思っています。(ということは「贖罪」には程遠い?)

  そうですね*語気強い*、一応謝罪の言葉も述べられていますけれども、
  あのぉ先ほどあのぉ遺族の(お父さんも)おっしゃってましたけれども*泣き声*
  ・・・ 自分たちはその“メディアに出てもらうことだけは避けて欲しい”とずっと
  メッセージされてましたよね。それをこういう形でまぁメディアに出してしまう
  ということは、一番してはいけないことをしたわけですよ。そこに何がある、
  そこに謝罪の気持ちっていうのはまず感じられないです。

  あとはやはりこういったものを書くということ。書いたことによってご自身は
  元少年Aは救われたいという気持ちがあったというふうにもありましたけれども
  書くということはいいですけれども、それを公に出すことはまた別の話ですから
  出版社の責任も私は非常に重いと思います。※興奮気味に語った。

 

 Q.出版についてどう思っているのか? ※番組が独自でで500人にアンケート
                     対象:20~60代の各世代100人
                     方法:インターネット
 A.出版すべきではない 78.4%
   出版しても問題ない 12.6%
   その他        9.0%  ※8割方は出版に反対

 

 <犯罪加害者が書いた主な手記>

             犯罪加害者    印税は?
   ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
 1968年/4人死亡             全額被害者家族へ支払う意向を示す。
 『連続ピストル射殺事件』         一部遺族は受け取りを拒否。
  1971年 手記発表   永山則夫 元死刑囚 現在は『永山子ども基金』を通じて
  『無知の涙』         死刑執行 ペルーの貧しい子どもたちに寄付。
   ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
 1995年/多数の死傷者
 『地下鉄サリン事件』           サリン事件など共助基金に寄付。
  1998年 手記発表   林郁夫  受刑者
  『オウムと私』        服役中
   ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
 2008年/7人死亡、10人重軽傷
 『秋葉原通り魔事件』           被害者や遺族に渡す意向を示している。
  2012年 手記発表   加藤智大 死刑囚
  『解』            服役中
   ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
 2007年/1人死亡
 『リンゼイさん殺害事件』         遺族への被害弁償に充てる意向を示すも
  2011年 手記発表   市橋達也 受刑者  遺族側が受け取りを拒否。
  『逮捕されるまで』      服役中
   ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
 1997年/2人死亡、3人重軽傷
 『神戸連続児童殺傷事件』         「出版で得た収入は被害者家族への
  2015年 手記発表   匿名  元少年A   賠償金や慰謝料に充てたい。」
  『絶歌』       ・・  社会復帰
   ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

 

 ・紀藤正樹 弁護士 ※犯罪被害者の人権問題に詳しい
  自ら本を出す以上、少年時代の犯罪という点で将来の更正のために
  与えられてきた「少年A」という匿名特権も許されることではない。


 ・木村太郎 ジャーナリスト
  僕読んでいないですよ。コレ(元少年A著書)。
  あの第一不愉快だから読まなかったんですけど、
  お父さん達が読んでもらいたくないというものをあえて読むことはないだろう。

  ただ出版することに関しては、公序良俗に反しない限りは「表現の自由」って
  いうのは、僕は守られるべきだと思うので、こういう本が出てくるのは性がない
  と思う。僕は読みません、ソレは。

  ※公序は「強権的に決まられる規則の枠内での話で、
   良俗は「道徳的慣習的範疇」を示す。 ??

   「公序良俗」とは? http://oshiete.goo.ne.jp/qa/691628.html


 ・紀藤正樹 弁護士 ※犯罪被害者の人権問題に詳しい
  犯罪加害者が本を出版し、利益を得られると金儲けのために事件を起こす
  犯罪者が出てくる危険性がある。

  <オーストラリアでは>
  『差し押さえ法』 ※ビクトリア州他ほぼ全州に同様の州法がある
   犯罪加害者が自ら犯罪をネタに本や雑誌、映画、ビデオなどで
   収入を得てはならない。
   ただし、教育的価値、市民の利益になるものはこの限りではない。

   違法に収入を得た場合、州政府によって差し押さえられる。

 ・木村太郎 ジャーナリスト
  アメリカにも『サムの息子法』ってのがあって、コレいろいろ「表現の自由」と
  問題になってますから、加害者が本当に本を書いてあるいは映画にした場合には
  その利益というのは没収されて被害者に与えられるという法律がアメリカの40州
  くらいあります。


 ・宮根誠司 MC
  私も番組をやるので(少年A著書を)読んだんですけれども、まあ本当に
  個人的に思うことは、細かい描写とか文学的な表現など要らないと。じゃなくて
  ただただ謝罪すべきだし、それからね、本当に殺害してしまったことへのやっぱり
  罪の意識だとか、ご家族・ご遺族の方に対する思いみたいなとこが、
  僕は語られていないんじゃないかな、中江さんがおっしゃったみたいにちょっと
  自己中心的な考えがしますけどね。

 

◇感想‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

┣・あえてこの件に関しては触れないでおこうと思っていたのだけれど、被害者の
  ご遺族がTVインタビューに応じていたのに驚いて思わず見てしまった次第。
  “都市伝説”的に語られることばかりだっただけに、怒りの矛先は向けつつも
  やはり気になってしまうのは仕方がないと自分でも感じてしまう。*罪深い*

┣・私のように「本は手にしたくないが内容の筋は知っておきたい」という人には
  考えさせられた特集だったと思う。司会者の感情が高ぶりすぎて一方向ばかりに
  目を向けさせるような発言には力不足を感じたけれど・・・ まあ表立って語れる
  話ではないことは確かです。

┣・「公序良俗」「表現の自由」のせめぎ合い? 都市伝説化されたこの重大事件も
  手記によればどうも勝手が違っていた様子。監視は?保護は?なぜ所在が分かった?
  “守られている”ようで、実は誰も“守られていない”社会なのではないか。
  カゴの中の鳥、いや、蜂の巣箱の働き蜂なのではないか。女王蜂は戦勝国
  シッカリと管理され、そんな女王蜂をただひたすらに守る働き蜂な我ら庶民?

  「何も知らない方が幸せだ」という語り話が、脳裏に思い浮かばれてしまった。

┣・批判を一方に浴びる【大田出版】ですが、考えさせる問題提起を多数出版して
  私も結構同社の本を購読しています。今回一番に感じたのが出版本が売れずに
  困っているのかな?です。禁断とも言える果実ですからね。手にしてかじって
  お亡くなりにならなければ良いのだけれど。*創世記* 最近本を読まない輩が
  増えてしまったから、本当に労力の割りには大変な仕事だと思います。(悲)


┗・最後に被害者家族に対して「少年にあれほどの犯罪はできない。怪しいのは家族だ」
  という見解を公のメディアで堂々と述べた著名家がいる。その後謝罪はしたのかも
  しれないが、恐らく文面でのものだろう。彼は今でも公の場でペンを奮っている。
  彼が今回の特集を見ていたとしたらどう感じたのだろうか。正直知りたくて仕方が
  ない。自分も著作権で訴えられるような“書き起し”をしているけどね・・・